
不安発作の初診前に整理しておきたい準備の要点
不安発作でメンタルクリニックを受診する際は、症状が起きた日時や状況だけでなく、生活への影響と治療で守りたい日常をメモにまとめておくと診察の相談がスムーズになります。当日に発作が起きていなくても、これまでの経過がわかれば医師へ状況を伝えられます。
この記事では、すきま時間に書ける発作メモのつけ方や、飲んでいる薬のまとめ方、体の病気を確かめる目安をお伝えします。あわせて、薬や行動療法の進め方をたずねる質問の例と、初診の持ち物や費用の確かめ方もまとめましたので、予約前の準備にお役立てください。
この記事の要点まとめ
- 発作の日時や症状、通勤・仕事・家庭への影響、治療後も続けたい日常をメモにまとめる。
- 動悸や息苦しさは身体の病気が関わる場合もあるため、受診歴・検査結果・服薬中の薬を伝える準備をする。
- 薬や行動療法、生活への影響について質問を用意し、持ち物・費用・所要時間を予約前に確認する。
- 大船のメンタルクリニックで不安発作の治療を始める前に整理したい、発作と生活への影響
- 動悸や息苦しさを不安発作と決めつけないための身体面の確かめ方
- 初診で治療の進め方を尋ねる質問例と、予約前に決めておく段取り
大船のメンタルクリニックで不安発作の治療を始める前に整理したい、発作と生活への影響

初診の場では緊張してうまく話せないこともあるため、発作の経過と日常生活で困っていることをあらかじめ紙やスマートフォンに書き出しておく方法が役立ちます。症状そのものだけでなく、生活背景やご自身の希望を整理しておくことで、無理のない治療計画を相談しやすくなります。
初診前には発作の経過と、治療で守りたい日常を整理する
当院では治療方針を医院側だけで決めるのではなく、お話を十分に聞いて診断し、患者さまの意向やご要望を踏まえてご提案しております。そのため、初診の準備では症状の報告にとどまらず、「治療を通じて守りたい日常」と「気がかりなこと」の両方を書き出しておくことが大切です。
たとえば、「これまで通り一人で電車通勤を続けたい」「夕方の時間帯にお子様の迎えを自分で担いたい」といったご希望があります。また、「日中の業務で集中力が落ちないか心配」「眠気が出る薬は避けたい」といった気がかりも書き出しておきましょう。
診察の際に詳細な聞き取りをする場合がありますが、答えにくい、答えたくないという時は、遠慮なく医師にその旨をお伝えください。
通勤・仕事・家庭への影響も初診で相談する材料になる
当院では薬による治療だけでなく、職場や家庭でのすごし方を整えることも含めた治療を目指しております。発作が起きる回数や強さだけでなく、症状をさけるために暮らしのなかで無理をしているところも、はじめての診察で相談する大切な材料になります。
一度強い発作を経験すると、「また同じ場所で起きたらどうしよう」という予期不安が生じ、電車やバス、エレベーターなどを避ける広場恐怖につながることがあります。混雑を避けるために出勤時間を早めて睡眠時間が削られている、朝の支度が慌ただしくなっている、途中下車で家族に送迎を代わってもらったといった変化もメモに残しておきましょう。必要に応じて、職場の業務内容の調整やご家庭で周囲の支援を得ることについても助言を行います。
通勤や家事の合間に残せる発作メモの書き方
発作の記録は、スマートフォンのメモ機能などに1件あたり1〜2行で短く残しておくと、通勤や家事の合間でも負担になりません。毎回すべての項目を埋めようとせず、わかる範囲で書き留めておくだけで十分です。
- いつ・どこで:例「4月10日の朝8時ごろ、通勤の電車のなか」「月末の会議が始まる前」
- どのくらい続き、どんな症状か:例「10分ほど、胸がドキドキして息苦しく、手足もしびれた」
- その前のようすと、そのあとにしたこと:例「電車がこんでいた。次の駅で降りてベンチで休んだ」
診察室でうまく言葉が出ないときでも、この画面や紙をそのまま医師に見せるだけで状況が伝わります。
市販薬やサプリメントも含めた服用中の薬と既往歴のまとめ方
現在飲んでいるお薬やこれまでの病歴は、処方する薬の飲み合わせや体調への影響を確認するために欠かせない情報です。処方薬がある場合はお薬手帳を持参し、市販の風邪薬や鎮痛薬、日常的に摂っているサプリメントがあれば、手帳の余白や発作メモに名称を書き足しておきましょう。
また、コーヒーなどカフェインを摂る量や飲酒の習慣、これまでにかかった病気や通院歴、ご家族の病歴についても、伝えられる範囲で一覧にしておくと問診票の記入や診察での確認がスムーズに進みます。
ポイント
初診前には、発作の日時や症状だけでなく「電車を避けるために早起きしている」といった生活へのしわ寄せと、治療で維持したい日常をメモにまとめておきましょう。
動悸や息苦しさを不安発作と決めつけないための身体面の確かめ方
急な動悸や息苦しさは、パニック発作などこころの動きによるものだけでなく、心臓や肺など体の病気によって起こることもあります。ご自身だけで不安発作と決めつけず、体の状態を確かめておくことも大切です。
内科などの受診歴や心電図で指摘されたことも伝える準備をする
当院ではパニック障害などの診療において、心電図異常の有無を患者さまにお尋ねしております。そのため、会社の健康診断や人間ドック、過去に受診した内科・循環器内科などで心臓や脈について指摘されたことがある場合は、その内容を伝えられるよう準備しておきましょう。
すでに内科や循環器内科など体の病気を診る診療科を受診して「異常なし」と言われている場合でも、いつ頃どの医療機関でどのような検査(心電図、血液検査、レントゲンなど)を受けたかがわかると診察の参考になります。手元に健康診断の結果表や他院での血液検査結果の控えがあれば、初診時にご持参ください。
初診の予約より救急受診を優先したい症状の目安
症状の出方によっては、メンタルクリニックの初診予約を待つのではなく、循環器内科など体の診療科や救急受診を優先すべきケースがあります。たとえば虚血性心疾患の場合、胸の痛みの長さは狭心症では1〜3分(長くても15分程度)ですが、心筋梗塞では20分以上続くとされています1。また、気道の炎症などで息苦しさや咳、喘鳴(ヒューヒューという音)が生じるぜん息の発作など、呼吸器の病気が隠れていることもあります2。
強い胸の痛みや締めつけが長く続くとき、冷や汗が出たり気が遠くなったりするときは、すぐに救急車を呼ぶか、救急の相談窓口に連絡することを考えてください。片側の手足がしびれる、ろれつが回らない、息が苦しくて話せないときも同じです。どちらを受診すべきか迷うときは、まず内科や循環器内科で、体に異常がないかを確かめるのが基本です。
受診日に症状が出ていなくても経過の記録が診察の手がかりになる
「予約した当日に動悸や息苦しさが起きていなくても、診察を受けられるのだろうか」とためらう方もいらっしゃいます。パニック発作は、急に強い恐怖や不快感がわき上がり、数分のうちにピークに達するものです3。そのため、診察室のなかでちょうど症状が出ているケースはむしろ多くありません。
精神科や心療内科の診察では、その場の症状だけでなく、これまでの経過を聞きながら状態をみていきます。たとえば、いつごろからどんな場面で発作が起きたか、「また起きるのではないか」という予期不安や、苦手な場所を避ける行動が続いているかなどです。事前に用意した発作メモがあれば、受診日に体調が落ち着いていても十分に相談の手がかりになります。
初診で治療の進め方を尋ねる質問例と、予約前に決めておく段取り

初診で医師に尋ねたい質問をあらかじめリストアップし、当日の持ち物や所要時間の目安を確認しておくと、お仕事やご家庭の予定と調整しやすくなります。治療法には薬物療法や心理療法(行動療法など)があり、それぞれの特徴や注意点を踏まえて方針を相談していきます4。
薬への希望と、仕事・送迎への影響で気になることを伝える
当院では薬の処方はできるだけ少なくすることを心がけていますが、薬を使わないこと自体を目標にはせず、必要な薬を合った量で使います。また、ご希望される患者さまには漢方薬の処方にも対応しています。
診察では「薬を使うか、使わないか」の二択で考えるのではなく、日常生活への影響で心配な点を具体的に医師へ伝えておくことが大切です。お薬によっては日々の生活に影響が出ることもあるため、次のような質問を用意しておくと話しやすくなります。
- 「日中の経理業務などで集中力に影響が出ないよう調整できますか」
- 「お子様の送迎や外出に支障が出にくいお薬の選び方はありますか」
- 「お薬はどのくらいの期間飲む見通しで、減らすときはどう進めますか」
なお、処方されたお薬を自己判断で急に中断すると体調が変化することがあるため、気になる症状が出た際や減薬を希望する際は必ず医師にご相談ください。
薬物療法と行動療法を自分の場合にどう進めるか尋ねる
大人の全般不安症では、認知行動療法などの心理療法がよくすすめられる治療のひとつですが、どれを最初に選ぶかはまだはっきり決まっていません5。当院では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬の処方と並行して、暴露療法などの行動療法を行っております。
なお、医療機関によって実施している心理療法やカウンセリングの提供範囲、保険適用の有無(自由診療となる場合は公的医療保険が適用されない点など)は異なります。ご自身の状態ではどの治療から始めるのか、通院の間隔はどのくらいか、症状が落ち着いてきたら何を目安に次の段階へ進むのかを初診時に尋ねておくと、通院の見通しが立てやすくなります。
電車のどの場面が難しいかを伝え、行動療法の進め方を尋ねる
当院では暴露療法において、苦手な場所や状況に少しずつ慣れるよう段階を設定しております。たとえば電車に乗るのが怖い場合は、まず駅まで行く、次にホームに降りてみる、電車に乗ってみるという順に進め、最終的には一人で電車に乗れるようになることを目指します。
初診の際には「電車が怖い」と一括りにせず、現在どこまでできてどこからつらくなるかを具体的に伝える準備をしておきましょう。たとえば「改札を通るところまでは平気だが、ホームで待つと緊張する」「各駅停車なら1駅乗れるが、快速や混雑した車両は難しい」といった伝え方です。どの段階から練習を始めるかは医師と相談して決めるため、受診前にご自身だけで無理に苦手な場面へ挑戦する必要はありません。
初診日の時間・持ち物・費用を予約前に確かめておく
当院は、大船駅(東海道線、横須賀線、湘南新宿ライン、京浜東北線、湘南モノレール)の笠間口から歩いて1分のところにあり、通勤や送迎の途中にも立ち寄りやすい場所です。診察室は声がもれにくいつくりで、特別な音を流して会話を外に聞こえにくくする「サウンドマスキング」も取り入れています。まわりの目を気にせず、お話しいただけるようにしています。
初診当日は問診票の記入や予診を含めるため、再診時よりも時間にゆとりを持って予定を組んでおく必要があります。予約前に確認しておきたい項目は以下の通りです。
| 確認項目 | 準備・確認の内容 |
|---|---|
| 当日の持ち物 | マイナンバーカード(または資格確認書)、お薬手帳、発作と生活影響のメモ、他院の紹介状や検査結果の控え(お持ちの方)、各種医療証 |
| 初診の費用目安 | 健康保険(3割負担)の場合、当院の初診は3,000円~4,000円程度が目安です。別に調剤薬局でのお薬代や、診断書などを希望する場合は文書作成費用がかかります |
| 予約と所要時間 | 初診の受付方法(WEB予約や事前問診の有無)と、受付から会計までにかかる時間の目安を公式案内や問い合わせで確認する |
※当院の初診の費用は、3割負担でおよそ3,700円程度が目安です。一般的には、行う検査やお薬の内容によって金額が変わり、別に薬局でのお薬代もかかります。また、通院が長くなる場合に診察代やお薬代の自己負担を軽くする「自立支援医療制度」や、診断書の発行についてもご相談いただけます。
ポイント
薬による仕事・送迎への影響や、電車でつらくなる具体的な場面を質問リストにして持参し、生活動線に合わせてゆとりのある日時に初診予約を取りましょう。
よくある質問
Q. 急に不安感や動悸に襲われるのはなぜですか?
A. 不安や恐怖を感じると自律神経が高ぶり、動悸や息苦しさ、汗、口の渇きなど、さまざまな体の症状が出ることがあります6。また、パニック障害などの不安症のほか、狭心症やぜん息などの体の病気が原因となっている場合もあるため、症状がくり返すときは医療機関で確かめることがすすめられます。
Q. 電車などで突然パニック発作が起きたときの対応はどうすればいいですか?
A. まずは無理をせず、できれば次の駅で降りて座れる場所を探してください。呼吸が浅く速くなっているときは、心のなかで3つ数えながら口からゆっくり息を吐き、同じように3つ数えて鼻から吸う腹式呼吸をくり返してみましょう。発作の多くは時間とともに落ち着く傾向がありますが、繰り返す場合は我慢を続けずに専門の医療機関へご相談ください。
Q. パニック障害や不安発作にはどのような薬が使われますか?
A. 不安症によく使われる薬は、SSRIなどの抗うつ薬と、不安をやわらげる抗不安薬です4。抗不安薬は発作のときなどにその都度使うことがありますが、長く使うとやめにくくなることがあるため、飲む量や日数に気をつけます。当院ではご希望に応じて漢方薬にも対応しており、症状や体のたち、お仕事やご家庭での過ごし方に合わせて、眠気なども含めて医師と相談しながら決めます。
Q. こころの不調で限界を感じているとき、仕事や家事はどう調整すればよいですか?
A. 「自分の甘えではないか」と責めて無理を重ねると、気分の落ち込みや睡眠不足が深まり、日常生活の維持がさらに難しくなることがあります。まずは睡眠と休養を優先し、カフェインやアルコールを控えるとともに、ご家族に送迎や家事の分担を相談してみてください。受診時には職場での業務調整や、必要に応じた休養のための診断書発行についても医師へ相談することができます。
参考文献
1. 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト KOMPAS. 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞). https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000236/
2. 独立行政法人 環境再生保全機構. ぜん息を知る. https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/
3. こころの病気 解説|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト. https://kokoro.mhlw.go.jp/mental-illness/
4. 不安症(不安障害) | KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト. https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000093/
5. Papola D, Miguel C, Mazzaglia M et al. Psychotherapies for Generalized Anxiety Disorder in Adults: A Systematic Review and Network Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials. JAMA psychiatry. 2024. PMID: 37851421 / DOI: 10.1001/jamapsychiatry.2023.3971
6. No.5 身体症状に着目したストレス反応:専門家向けお役立ちトピックス~メンタルヘルス不調関連~|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト. https://kokoro.mhlw.go.jp/mental-health-pro-topics/mh-pro-topics005/
7. 国立健康危機管理研究機構. 糖尿病の治療ってどんなものがあるの?(糖尿病情報センター). https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/010/01.html
日本精神神経学会専門医
日本医師会認定産業医
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